Tochigi Coffee Town – Take Root – 開催のお知らせ
▼ご挨拶
はじめまして。小京都かつ小江戸でもある蔵の街「栃木県栃木市」で自家焙煎珈琲スタンド「悟理道珈琲工房(ごりどうこーひーこうぼう)」を営む小舘 敦(こだて あつし)と申します。2019年5月19日の日曜日に開催するイベント「Tochigi Coffee Town -Take Root-」の実行委員長を務めさせていただいております。
今回開催するイベントは「コーヒーフェスティバル」+「マルシェ」+「映画」という組み合わせの大枠で言ってしまえばよくあるマルシェです。実は個人的には大きな場所で開催するマルシェ的なイベントというものは街の活性化にとっては何の意味も持たないと考えています。しかしながら栃木市という街の特性や歴史、現状などを考えると今回のこのイベントが今後の市内中心部の活性化に微力ながら寄与できる部分があるのではないかと思い今回開催することに決めました。
なぜこのイベントを開催しようと思ったのかを書く前にまずは自己紹介と栃木市はどういう街なのかを説明させていただきます。
自分は2017年の12月に栃木市でコーヒースタンドをオープンしました。
住まいは栃木県の県庁所在地である宇都宮市なのですが、中心市街地が観光地であり古さと新しさが渾然一体となった不思議な風情、そして何より現在店舗として利用させていただいているかつては北関東でも有数の規模を誇った畳表やい草の卸問屋の築80年を超す写真の建物に魅せられ、この栃木市でお店をオープンすることに決めました。
栃木市では2年に一度開催され勇壮な山車が二日間大通りを練り歩く「秋まつり」など季節ごとに古くから続く伝統的な行事が行われており、そうしたイベント開催時には多くの観光客で賑わいます。
しかしながら地方都市のご多分に漏れずかつては商業の町として隆盛を誇った栃木市中心部も今では空き店舗が多く見受けられ、これから商売を始めるのに適した場所とは言い難いのが現状です。
そんな状況でも不思議なことに同じタイミングでこの街に魅せられたコーヒー店が多かったらしく、栃木市のメインストリートである蔵の街大通り沿いのわずか200m程の範囲にはこの2年間で次々とコーヒー店やカフェ、雑貨店が出店しており、徐々にではありますが通りを歩く人の数は増えてきています。
また蔵の街大通りの中心部エリアから北に歩いて10分ほどの旧例幣使街道に面した昔ながらの街の面影を色濃く残す「嘉右衛門町エリア」にもカフェやおしゃれな雑貨店が増えてきています。
昨年2018年には市内中心部に店舗を構えるコーヒー店が協力して各店の場所や特徴を記した「栃木コーヒータウンマップ」(コチラからダウンロード可能です)を制作し、それぞれのお店や観光協会などでの配布をはじめました。ありがたいことに地元の方や観光客の皆様からもご好評いただいています。
今回この「栃木コーヒータウン」の活動の一環として5月19日にイベントを開催するのですが、僕たちはこのイベントを単なるコーヒーフェス以上に意味のあるものにしたいと考えています。
題して” Tochigi Coffee Town -Take Root- “ 副題の”Take Root”は「根を張る、根付く」という意味です。
▼このプロジェクトで実現したいこと
今回のイベントがどのようなもので今後どういう展開をしていきたいのか、その想いを少しでも伝えられたらと思います。少々長くなりますがお付き合いいただければ幸いです。
栃木市はかつて市内を流れる巴波川(うずまがわ)の水運を活かした江戸との交易で栄えた商都でした。しかしながら県庁所在地が宇都宮に遷るとともに徐々に経済的には衰退の途をたどることになります。そのかわりと言ってはなんですが、栃木市内には大正期や昭和初期に建てられた見世蔵造りの建物が多く残ることになりました。現在ではそうした建物が立ち並ぶ景観が「蔵の街」の観光資源として活用されています。
自分がこの街でコーヒー店をオープンした理由もこうした街並みの美しさに魅せられてという理由が大きいのですが、それでも先述のとおり大通りを含めた市内中心部には空き店舗が目立ち、地元の方はもちろん観光に訪れた方からも物足りなさを指摘されることが少なくありません。
また市内には映画館やライブハウスなどの娯楽施設や若者向けのショッピング施設がなく、市内在住の高校生が娯楽や買い物をするためには近隣の小山市や宇都宮市まで出かけざるを得ません。そして大学や大きな産業も少ないため高校を卒業した若者の多くは栃木市外に流失してしまっています。また大学卒業後も地元に戻って働くための選択肢が少ないという事情もあり、様々なことに活力を持って取り組むことができる20代前半の世代が街に少ないことが地域活性化という点において停滞を生み出す原因となっています。
ではこうした状況を解決するためにはどうしたらいいのかを考えたときに、まずは空き店舗を魅力的なお店で埋めることが急務だと思っています。
栃木市にここ数年でコーヒー店やカフェが増えている理由の一つとしてこの街が「生活の場でもあり観光地でもある」ということが大きいと思います。平日は地元に住む方の憩いの場所、週末は観光に訪れた方の休憩場所というはっきりとした利用目的があるためこの業態での出店がしやすいのです。そして実際、年々大通りを歩く人が増えてきていることからも先述したコーヒータウンの活動やお店が増えつつある状況が街に少しずつ活気を取り戻させている要因の一つと言って間違いないと思っています。
逆に言えば地元の方や観光客のニーズに合うお店が業種を問わずに増えていけば、この街にはまだまだ人が増えていく可能性があるということです。
また市内中心部にミニシアターやライブハウス(もしくはレンタルスタジオ)など気軽に文化に触れられる施設ができれば、高校生などこれからのまちづくりを担っていく世代が足繁く街中に通うきっかけになるはずです。
しかしながらそうしたお店の出店希望者が居ても、様々な理由から空き店舗を貸し出す側とのマッチングがうまくいかないという現状があります。(これは栃木市に限った話ではないと思いますが。)
今回のイベントでは昨年栃木市内で開催した栃木県内初のコーヒーフェスティバルと屋外映画鑑賞会”The City Doesn’t Have A City”をベースに、市内にお店を構えるコーヒー店、飲食店、雑貨店を中心に県内各所から美味しいお店や個性があり素敵なお店を集めたマルシェを開催し、マルシェ終了後の夜には同会場にスクリーンを立てて、コーヒーの生産からカップに注がれるまでに関わる人の思いを描いたドキュメンタリー映画 “A FILM ABOUT COFFEE” の上映を行います。
このイベントにお越しくださった皆さんにイベントそのものを楽しんでもらいながら「市内にはこういうお店があったんだ」ということを知っていただき、これまで以上に栃木市という街を好きになってもらって日常的に街中へ足を運んでもらうようになることが今回のイベントの一番の目的です。また多様なお店が街にできることで街中が賑わうということを感じていただき空き店舗への出店、活用されていない空き店舗の賃貸を促進する一つの契機になってほしいと考えています。
またコーヒータウンとして認知度が上がっていく中で “A FILM ABOUT COFFEE” の上映を行うことでコーヒーという飲み物の文化的側面にも触れていただきその奥深さの一端を少しでも感じていただければと考えています。
また今回のイベントの運営には栃木市内在学の高校生が組織する「とちぎ高校生蔵部」にもご協力いただき若い世代に栃木市をもっと好きになってもらい、仮に進学などで一度栃木市外に出ることになっても、将来また地元に戻ってきたくなるような素敵な思い出を作って欲しいと思っています。
イベントのサブタイトル “Take Root” は「根付く」という意味です。このイベントをきっかけに様々なお店や文化、そしてなにより街づくりに興味を持つ人材がこの栃木市に末永く根付いてくれるようになることを心から願いつつ、参加してくれるみんなが幸せになるようなイベントにしたいと考えています。
さらに次回以降はこのイベントを街中の空き店舗や使われていない建物を活用する形にスタイルを変えて発展させ、少しでも今後の市内の空き店舗への出店に対する理解を得られるような内容にした上で定期的に開催していきたいと考えています。
▼具体的にどんなイベントになるのか?
11:00~17:00 コーヒー・飲食・雑貨販売のマルシェ
19:00頃~ 屋外映画上映スタート
20:30頃 イベント終了
イベントは大通りの商店街南端にある「旧警察署跡地」で開催します。(※街中の大きな空き地です。ここを今後どう活用していくのかも気になるところではあります。)
日中は栃木市で「栃木コーヒータウン」の活動に参加する5店舗を始めとした栃木県内のコーヒー専門店20店舗程度と、栃木市内のカフェ・ベーカリーショップなどのフードショップや雑貨店が15店舗程度、栃木市内で農業を営む方や食文化の啓発活動を行ういくつかの団体が集まってのマルシェイベントとなります。
また実行委員会でも独自にイベントロゴをプリントしたステッカーやトートバッグを製作し販売。売上の一部を今後の街の活性化に役立てたいと思います。
マルシェ終了後の夜19時頃からは同会場にスクリーンを設置しての屋外映画祭を開催します。日中のコーヒーフェスからの流れでもっとコーヒーについて知ってもらうためにスペシャルティコーヒーに関するドキュメント映画”A FILM ABOUT COFFEE”を上映する予定です。
今後こちらのホームページではイベント詳細や出展者などを随時紹介していく予定です。